損傷機構「硫化物SCC、水素誘起割れ、水素ブリスター」が選定されました。
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- 硫化物SCC、水素誘起割れ、水素ブリスター
湿潤硫化水素環境で用いられる炭素鋼や低合金鋼に生ずる割れで、硫化水素応力腐食割れ(SSC: sulfide-stress cracking)とは異なって,圧延方向に延びたき裂を特徴とする.すなわち,HICの割れの形態は基本的には,鋼の圧延方向に平行な割れ,これらの平行き裂が互いに干渉して連結した階段状の割れ,および表面近傍の割れによるふくれの3種類である.これらはその形態から,ステップ割れ,ブリスターとも呼ばれる.割れ近傍には大きな塑性変形が誘起されていて,主に擬へき開破面を呈する.作用応力や残留応力とは基本的に無関係に発生する.ラインパイプや油井管のような鋼管,あるいは圧力容器や石油精製機器に用いられる鋼板で事例が多い.湿潤硫化水素環境でラインパイプ鋼等に発生するHICは,油井管,LPGタンク等に発生するSSC,あるいは自然環境で高力ボルトに発生する遅れ破壊(DF: delayed failure)に比して,低強度の,軟鋼に属する,材料に発生することを特徴とする.いわゆる,“SOHIC (stress-oriented HIC”は,微細な介在物を起点として外部からの負荷応力の存在下で成長するHICの一形態である。
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